株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 取締役副社長 兼 CFO 髙田隆太郎氏

上場することで自分達の事業が拡大できるのなら、目指すべき

「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」をミッションに掲げるミンカブ・ジ・インフォノイド。急成長しているベンチャー企業のひとつだ。
同社の取締役副社長兼CFOを務める髙田隆太郎氏は、スタートアップ中盤からジョインし、事業成長を牽引しながら会社の屋台骨を支えてきた人物である。
その経験を基にベンチャー企業の上場する意義について伺った。

 

――ミンカブ・ジ・インフォノイドとはどのような会社なのでしょうか?

弊社は、2006年に設立した、事業に関与する人の過半をエンジニアが占めるテック企業です。

AIやクラウド、ビックデータを活用した、金融情報配信を行っており、具体的には、B2Cのメディア事業として日本最大級の投資情報メディア「みんなの株式」、株式専門情報メディア「Kabutan」などを運営して、広告収入や課金収入を得ているのと、B2Bのソリューション事業として我々のノウハウを金融機関等に提供することで収益を上げています。

メディア事業は、月間ユニークユーザー数が約700万人、ソリューション事業では金融機関を中心に100社以上の顧客と取引があります。

AIによる自動生成技術などのテックを活用して生成する情報の特徴は、株式であれば、約4000の全上場企業の決算速報や業績予想株価診断などの幅広い情報を全社網羅していること、発信する情報に人的ミスがなく正確なこと、企業が決算などの情報公開をしたら、それらのデータを瞬時に読み解き、1秒足らずでニュースなどの情報を出すことができる速報性があることです。

――金融分野は今、とてもホットだと思います。ライバルも多いのではないですか?

我々のようなアプローチで情報の提供を考えている企業は多くはありません。
現在、明確なコンペティターといえる企業はいない状態で、アプローチが珍しいことも特徴になっています。

この珍しい我々の独自のノウハウを活かして情報の提供分野を拡張できることも特徴です。
新規サービスを開発したり、金融情報以外の分野、例えばスポーツ情報分野への参入なども計画しています。

 

自分がジャンプするタイミンクだと思いミンカブへ

――髙田さんはミンカブ・ジ・インフォノイドの創業メンバーではないんですよね。

ミンカブ・ジ・インフォノイドは2006年の設立ですが、私は2012年に入社しました。 その前は10年近く、スクウェア・エニックス・ホールディングスの経営企画でIRを担当していました。

そのときに、ゴールドマンサックスで証券アナリストとしてスクウェア・エニックス・ホールディングスを担当していたのが、ミンカブ・ジ・インフォノイド 代表取締役社長の瓜生憲でした。 そのつながりがあったことから誘われ、入社することになりました。

――転職した動機は何だったのですか?

スクウェア・エニックス・ホールディングスでは、IRの他にもさまざまなコーポレートアクションにかかるプロジェクトに参加するなど、多くの経験をさせてもらえました。

社長やCFOと直接やり取りさせていただいたこともあり、自分の経験値が上がっていることを感じていました。 そのうち、自分で意思決定を行う立場で会社の運営をしたいと思うようになりました。

ちょうど、2012年は、2003年から担当していたIRも担当して10年近くが経っていたので、タイミングだと思ったんです。

――今は副社長ですが、最初は違っていたのですよね。

入社した時は、取締役として入社した訳ではありませんでした。
2013年に取締役になり、2016年から副社長を務めています。

私が入社したときは、従業員も10数名でしたが、全員が毎日必死で目の前の業務にあたっていると感じました。
会社を発展させるためには、資金が必要だったので、資金調達をして、自分達のコンピタンスを活かせる領域でビジネスを拡張させることを目指しました。

いかにして自分達の会社の価値を上げるかが重要でしたし、ベンチャーキャピタルからも資金を調達していたので、新規の事業と既存事業のマネジメントの両方を推進させて、顧客や株主などとの関係を作っていくことに一生懸命でした。

 

――ベンチャーが苦労するのは資金調達だと思うのですが、どうすれば解決できるのでしょうか?

自分たちのストーリーに賛同してくれる方を探すことで解決するように思います。私が入社した2012年前半はアベノミクス前で、ベンチャーキャピタルは今ほど活発に動いていない時期でした。

本来の目的や性格からエクイティで調達が必要な成長投資資金を充分に集めていけないのなら、プロジェクトをベースにデットで調達をしようとしたのですが、当時はお付き合いのある銀行も1行しかなく、他行にファイナンスの関係で連絡をしてもなかなか会ってももらえませんでした。

最初は苦労しましたが、実務的には、2012年の半ばのある銀行の支店長と担当者との出会いが大きかったです。
ストーリーを理解して、プロパーで融資をすぐに付けてくれ、そのことが信用や事業構築の材料になって、結果としては、当時のエクイティ面での資金調達にも繋がりました。

2013年頃からは、徐々に環境が変わって、資金調達がしやすい環境になりました。大手や独立系のベンチャーキャピタルはもちろん、KSPさんのような第三セクターで支援してくれるところもある。CVCも活発になっています。

今はどのベンチャーでも資金調達で苦労することは以前よりも少なくなってきていると思いますし、選択肢も増えて、すごく良いことだと思います。

――KSPからの支援はいかがでしたでしょうか?

KSPさんにプレゼンさせていただいたとき、そこでいただいたご意見はとても良いヒントになりました。
プレゼンは難しいものではなく、弊社の紹介をさせていただき、その後、QAでの質疑応答だったのですが、当時はLPの識者の方と意見交換する機会も貴重なことでしたし、そのことで気づきもありました。

――2019年3月に東証マザーズに上場していますね。

会社としては、メディア事業のグローバリゼーションを成長の軸として位置付けていた時期があり、そのときは、海外上場をして、海外で資金調達をして海外でのブランドを少しでも高める、ということを考えていたこともありましたが、M&Aやそれを通じた従業員の日々の努力による自社のノウハウとのシナジーを通じて、国内でソリューション事業が発展できることになって、まずは国内での金融情報配信をB2CとB2Bの両面でグロースさせることに戦略転換をしました。

そのときに東証マザーズに上場し、国内での信用やブランドを流動性と共に獲得して価値向上することを目指す方針にしました。
以前から上場はテーマのひとつでもあったので、徐々に体制は整えていましたが、本格的に事業拡大を目的とした今回の上場準備を始めたのは2017年のはじめからでした。

――やはり、ベンチャーにとって上場は必要でしょうか?

上場することで自分達の事業が拡大できるのなら、目指すべきだと思いますが、もちろん、絶対ではないと思います。

弊社の場合は、上場したことで、メディア、ソリューションの両事業で新規顧客からの信用を向上することができたと思います。

話ができなかったような潜在顧客ともコンタクトが取れるようにもなりました。会社が成長しやすい状態になったことは間違いありません。
この意味で、上場したことでマイナスはなく、プラスに動いています。

ただ、上場しようとするとガバナンスをより重視することはもちろんのこと、会社としては一種の環境変化が起こります。その変化を役職員で乗り越えることは重要だと思います。

上場準備を例に取れば、関与した弊社の従業員は上昇志向が高く、成長したいと考えている者が多かったので、救われたと思いますし、彼らの成長がなければ難しかった部分はあったと思います。

ステークホルダーの中で従業員にとっては上場することはプラスもマイナスもあると思います。

プラスの1要素は社会的な信用ですが、マイナスはより厳しい管理体制を求められることはもちろん、責任は重くなるので、苦労は伴います。

会社としては、株式が流動することによる価値向上とそれに伴う資金調達力の向上はもちろんですが、知名度や信用度の向上、人材の確保、社内管理体制の強化など、一般的に言われるメリットは享受できるものではあると思いますので、顧客、株主、従業員などとの関係性から、それらが、今後の事業拡大に繋がるものかどうかが判断基準だと思います。

――最後に今後のベンチャーに対するメッセージをお願いします。

メッセージというのはありませんが、ベンチャーを始めたり、飛び込んだりするのは、最終的には事業として、こういうサービスがあったら面白いとか、便利になるとかをスピード感をもって実現させることを目的に苦労していると思いますし、資金はそれを実現するための手段として必要となるものの1つだと思います。

新しいことをやろうとするのは楽しい反面で大変ではあるのは当然なので、日々多くのことがある中では、事業面で実現したいことのために必要な部分を取捨して、目的に向かうことが⼤事なのかなと思います。

プロフィール

髙田隆太郎

髙田隆太郎 / Ryutaro Takada (株)ミンカブ・ジ・インフォノイド 取締役副社長 兼 CFO

2012年 同社入社
2013年 同社取締役
2016年 同社取締役副社長

KSPとの関わり

2014年、KSP投資ファンドから出資(既存株主からの株式買取と併せて第三者割当増資の引受け)。
その後、KSPより金融機関の紹介など、資金調達のサポートを受けた。