サトーグリーンエンジニアリング株式会社 代表取締役社長 徳永清徳氏

ビジョンを共有し、点を太い線に サトーグリーンエンジニアリング株式会社 代表取締役社長 徳永清徳

サトーホールディングス(株)を統括に、機能分社方式で国内外47社からなるサトーグループ。環境経営の本格化にあたり、2013年4月にサトーグリーンエンジニアリング(株)が設立された。その社長に抜擢された徳永清徳氏。グループの期待を背負う初の社内ベンチャー、そして、初めての社長体験という醍醐味を味わいながら、新規事業を開拓するその思いを伺った。

 

遠慮の壁を外し、率直な意思疎通

―社長就任前は何を担当していましたか?

ISO審査員の資格を取得して2002年にサトーに転職し、品質保証部でISO関連の仕事を約10年やっていました。
2008年に、当時サトー(分社化前)で、ごみ分別やエネルギーの削減など社内活動に取り組むため、環境活動の全社プロジェクトを立ち上げました。

私は品質保証部でISO14001を始め、環境関連に携わっていましたから、環境保全に関する全社の啓発、教育、データ収取集、環境報告書のデータ制作などを担当していました。

―社内ベンチャーの社長に抜擢されて、まずどうしましたか?

自分で予想もしなかった辞令でしたので驚きましたが、サトーグループが世界ナンバーワンの環境先進企業となるための第一歩を任されたということは重みのあることです。

アクテイブ株式会社(東京理科大学発ベンチャー企業)と開発した、燃焼時にCO2を20%吸着するという世界初の技術を採りいれたエコナノラベルが2011年に発売され、サトーのヒット商品となり、そのCO2吸収の技術(ナノベシクルカプセル技術)の用途開拓と環境事業開拓が弊社の役割になります。

とはいっても、サトーの事業柱であるラベルとプリンタ以外の全く新しいところから開拓することが条件でした。
とりあえず人に会って、何かしらヒントに繋げようと、今までの名刺を整理し、環境関係に携わる人全てに挨拶まわりをしました。

アドバイスを頂き、環境担当者を紹介して頂いたり。別分野でしたがKSPの卒業生にも会いましたよ。コールセンターやサービスマンなどサトーのリソースを使うことを勧められました。

―会社のメンバーは募ったのですか?

私の直接の働き掛けではなく、新規事業をやりたいというメンバーが集まりました。社員4名中3名が私より年上で、最初は気を遣いましたが、ベンチャーとして遠慮の壁はいちはやく取り外さないと機能しないと思い、「自分たちの会社を将来のサトーグループの軸にして、2020年に100億円売上げる」というビッグな夢を分かち合うメンバーとして率直に意思疎通をはかれるようにしました。

私より社会経験がある人ばかりなので、逆に私も相談したり。また、私が冷静でいられる場をつくって支えてくれるのでありがたいですね。

 

ベンチャーの前進には懐の深さ

―KSP のスクールでの体験は?

KSP のビジネスイノベーションスクールで講師をされている竹内倫樹先生とご縁があったきっかけで通いました。

授業では、起業・経営に関して自分の知識で使えるものがほとんどなかったことに愕然としましたね。

あたりまえですが社員と社長の差を痛感しました。社長という名刺を出すだけのスキルが必要だということを実感し、改めて重みがずしっと。(笑) 年度計画をつくるときスクールでのノートをいまだに見直しますから、あのときの勉強は財産になっています。

私の場合は社内ベンチャーですので、一般的な起業家の動きをみる刺激の場にもなりました。

―ご自身の中で意識の変化がありましたか?

資金面では一般の起業家に比べて恵まれている環境ですが、期間内に売上を伸ばし、自社を飛躍させるという目標は一緒です。

会社の成長には、共通の志を持ち、メンバーが互いの能力をひき出しあって、成果に繋げることが大切です。
そういう意味では、全員の生きがいややりがいとしてモチベーションを上げ、前進することに注力できるようになったことですね。先日、日経ビジネスにメンバーが載りましたが、みんな生き生きしていますよ。

―ベンチャーとして意識しているところは?

管理職時代は、まわりの目や予算の使い方など細かいところが気になっていました。それが大事な場合もありますが、そんなことは小さいことだと今は思えます。ベンチャーは何もない厳しい状況の中から未来を創り出す大役です。それゆえにベンチャーの前進は精神面も金銭面も懐の深さが影響するかと。

ビジネスチャンスを増やすためにも、保守的にならないように意識しています。ベンチャーだからこそ、あらゆる面から、いろいろ感じてもらえればいい。普段からキャッチ力を高めることが重要です。

社内で常々、会社の未来に対してそれぞれの夢を語っているので、その意識を共有した動きは、最初は点でも必ず太い線になると思っています。

 

自分との対峙が力をつける

今後のビジョンは?

設立後1年経ち、ようやく売上がたったところで、まだ今は事業の基盤をしっかりしていくことが先ですが、ナノベシクルカプセル技術が入っているものを使っていることがステイタスになる市場を目指します。

また、弊社はCO2を吸着する技術の商品を手掛けている一方で、CO2が必要なところもあることに着目しています。その分野での発展も視野に入れて動いています。

起業する方にメッセージを

トップに立つというのは、失敗を恐れずに立ち向かう志を持つ一方で、どこか楽観的じゃないとやれないと思います。

弊社は2020年に100億円の売上を掲げています。試算した目標額ですからもちろんそこにむかって全力を出しますが、最初からその金額にとらわれ過ぎると、達成するかどうか不安のがんじがらめになってしまいます。

先の心配をするより、目的に向かって今をどう動くか、着々と前進あるのみですね。人生の中で起業や経営をするという醍醐味は、そのチャンスがあるなら、やらないと損だと思います。

知識、経験から出てくる言葉、考え…自分が裸になったときに本当に自分の根底にあるものしか頼るものがない。それだけに自分と対峙する濃い経験ですから、人生そのもののやりがいですね。

プロフィール

徳永清徳 / Kiyonori Tokunaga

徳永清徳 / Kiyonori Tokunaga

2002年
ISO審査員の資格を取得し、サトーグループに転職
品質保証部でISO関連に携わる

2013年
サトーグリーンエンジニアリング(株)社長に就任

KSPとの関わり

2013年 第22回 KSPビジネスイノベーションスクール受講
KSP で作成した事業計画書を実現するためにチームを率いて邁進中。

第14回かわさきサイエンスチャレンジ     
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